【開催レポート】Digital HR Competition 2018

Digital HR Competition 2018とは

本イベントは、「アナログ中心であったHRの領域におけるテクノロジーの活用を、競い合うという形を通じてより高めていく」ことを目的に、理論と実務と企業の垣根を超えて新しい仕組みや枠組みの創出に関わっていこうという熱意を持った方々のご参加・ご支援を受けて開催いたしました。2018年10月16日(火)には、東京大学 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホールにてファイナリスト9件(ピープルアナリティクス部門5件、HRテクノロジーソリューション部門4件)の最終プレゼンテーションを実施し、最終審査会当日の参加者は200名を超えました。会場内の様子を交え、以下の通りご報告いたします。


ピープルアナリティクス部門(データ活用実践部門)

   
グランプリ
株式会社セプテーニ・ホールディングス
「人材育成技術×最新テクノロジーで採用活動の個別最適化を実現~採用・就活の新たなカタチ~」
プレゼンター:採用企画部 リーダー 斎藤 純平 氏
過去データの蓄積と分析から独自の人材成長の方程式を構築し、採用活動における課題解決に活用している。
・選考基準が明確でない→AIで入社後の活躍を予測
・時間的・物理的制限が多い→選考を完全オンライン化
・一律な情報提供をしている→テクノロジーで情報提供の最適化
・キャリア理解につながっていない→人材育成技術でキャリア理解を促進

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ファイナリスト
株式会社フジクラ
「健康データの戦略的活用による健康経営手法~社員が活き活きと働いている会社を目指して~」
プレゼンター:人事部 CHO補佐 浅野 健一郎 氏
すべての人材が生き生きと働ける環境をつくるため、これまでは常識だったが実は労働環境としては非常識であることをデータの力で見つけ出し解決する取り組みを実施。身体活動が生産性に影響しているという仮説を立案→検証→介入・制御→モニタリング…のループを回している。私達は高度なAIや分析技術をつかったわけではなく、Excelでもできることはある。

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ファイナリスト
トレンドマイクロ株式会社
「データドリブンカルチャー醸成へのチャレンジ」
プレゼンター:人事総務本部 エキスパート 小木曽 光倫 氏

データドリブンのカルチャーを社内に醸成するために様々な仕組みを取り入れている。テクノロジーを使っていかないと安定した取り組みを継続できない。今年はその元年。
・BIによる人材情報の可視化
・テクノロジーをつかった潜在タレントの特定と優先的な成長機会の提供
・エンゲージメントサーベイをつかったタイムリーな状況把握とアクション

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ファイナリスト
三菱電機株式会社 静岡製作所
「戦略的採用活動による大規模(10年度比6.5倍)採用実現と 中途入社者の入社後支援策の開発」
プレゼンター:総務部 人事課 山崎 潤平 氏

全社成長戦略を受け、中途採用計画が大幅増。採用計画は達成できたが、配属部門と中途入社者の意識のGapが顕在化した。この課題に、データの収集・解析を使って「順調に職場適応し活躍ができたグループが経たStepを体系化→入社後支援プログラムの開発→導入支援プログラムの効果を検証」という手順で対応した。HRデータを活用して、現場の労務管理力を上げていく時代。その能力を高めて、企業経営に貢献していきたい。

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ファイナリスト
株式会社デジタルアイデンティティ
「Data Driven Employee Engagement ~カンに依存しない、客観データから導く人事施策~」
プレゼンター:代表取締役社長 鈴木 謙司 氏

採用人数を増やすことができず、辞めてしまう。退職者を減らして育てるためHRテックに取り組んだ。新規入社者及び既存社員全員の適性診断テストGABの結果から6タイプに分類しスキルを言語化→タイプ別に入社後に獲得するスキルを予測→タイプ別に採用時や育成時の注意点を作成。汎用性が高い取り組みではないかと感じている。


 

HRテクノロジーソリューション部門(テクノロジー・ツール提供部門)



グランプリ
ファインディ株式会社
「テクノロジーで、転職のこんなはずじゃなかった!をなくしたい。AI転職マッチングサービス「Findy」とそのアルゴリズムの紹介」
プレゼンター:代表取締役 山田 裕一朗 氏

「Findy」は、ITエンジニアのスカウト型フリーランス・副業マッチングサービス。Git Hubの解析からエンジニアのスキル偏差値を算出し、スキルに対応した年収を予測。また、企業の求人票を採点しランキング化することによって、エンジニアの「どんな会社がいい会社なのかわからない」という悩みや、人事担当者の「エンジニアの技術力を評価できない」という課題に対応。エンジニアのエンパワーメントを通して、日本の豊かさの維持にコミットしていきたい。

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ファイナリスト
株式会社grooves
「新たな地方創生、はじまる。地方の中小企業の新しい人材確保「副業受け入れ/Skill Shift」」
プレゼンター:Skill Shift事業部 部長 鈴木 秀逸 氏
イノベーションに必要なスキルをもった人材の確保が難しい地方中小企業と、スキルをもった人材を「副業」でつなぐプラットフォーム「Skill Shift」。農業法人オキスでは、企業としての体制の最適化の設計を副業の人材の力によって実現(副業の方が上流の設計、現場の方が実行)。非常に助かっているという声をいただいている。地方の経営者の方は副業者を待っている。是非登録してほしい。

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ファイナリスト
Laboratik株式会社
「管理しないマネジメントをサポートするBot「A;」」
プレゼンター:代表取締役 三浦 豊史 氏

働き方は多様化しているが、マネジメントがその多様化に対応できていない。この課題に対して、チームコミュニケーションツール「Slack」のコミュニケーションをBot「A;(エー)」が解析し、チームの状況を見える化して把握する。多拠点で働いている企業や、急成長したために組織の状況がつかみにくくなった企業などで、効果的に利用されている。

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ファイナリスト
PEACE COIN OÜ
「ブロックチェーン技術を活用した新時代の評価制度。独自アルゴリズム”ARIGATO CREATION”で従業員満足度(ES)の向上を実現」
プレゼンター:CEO 阿部 喨一 氏

ブロックチェーン技術をつかって、まじめさ、確実さ、誠実さなどの、「仕事を進める上で非常に大切だが可視化できないために評価されてこなかったもの」を可視化する仕組みを考えた。Peace Coinという仮想通貨を流通させることで、見えない価値を見える化し、やりがいの創出にもつながるのではないか。千葉市稲毛区で実証実験を行い、手ごたえを感じている。HPに論文を掲載しているので、興味を持っていただける人はぜひ見てほしい。


審査委員長 講評

慶應義塾大学商学研究科  鶴 光太郎教授

すべてのプレゼンテーションから、今の社会や生き方・働き方を変えていきたいという気持ちが伝わってくるような印象を受けた。グランプリに選んだ2社は、安定感が突出していたという点を評価(以下詳細記載)。グランプリ以外でも、地方中小企業の人材不足という問題に副業マッチングという斬新な解決策を示した株式会社grooves、一般的に理解されているよりもはるかに重要な要素であることがわかってきた健康経営への画期的な取り組みをした株式会社フジクラ、カタカナや横文字社の社名が多い中で、日本の伝統的な企業の存在感を示した三菱電機株式会社など、非常に刺激をうけた。今後もいろいろな取り組みを共有し、「やってみたい」という輪がどんどん広がるような場となってほしい。

【株式会社セプティーニ・ホールディングス】

・応募者本人へのフィードバックもしっかりやっていた点が印象的だった。内定者に「入社しよう」という気持ちを持続させるインセンティブにもなったのでは
・AIを使っているが限界も理解していて、AIと人の合わせ技を行っている点が、これからのAI利用の大きなポイントになるだろう
・今後、自社で開発したシステムを公開するとのこと。期待して注目していきたい

【株式会社ファインディ】

・日本の労働市場において、中途者と企業のマッチングは非常に大きな課題
・「エンジニアのスキルはGit Hubの解析から」、「企業側は求人票から」といった評価の仕組みを両面からつくり、マッチングの質を高めていくことは重要な取り組み
・今はエンジニアに特化したサービスということあり、エンジニアはデジタルにマッチングさせやすい対象ではあるが、今後はエンジニア以外の職種についても、広がりを期待したい


研究員より
ブームで終わることのない、「産・学・官の草の根ネットワークをつくりたい」という想いで実現させたDigital HR Competition 2018。データの活用の流れは既に不可逆ですが、方向性はまだ定まっていません。その恩恵をうけるのは一部のみであってはならず、社会全体を豊かなものにする方向で発展させなければなりません。そのためにも、このようにデータ活用に関心を集め、評価する取り組みは重要だと考えます。
執筆:ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 研究員
植松 真理子