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2022.01.15

【開催レポート】9/16(木)ピープルアナリティクスラボ#3「PAの実践Ⅲ:基本から最前線まで」

PAの実践Ⅲ:基本から最前線まで
ピープルアナリティクスラボとは、ピープルアナリティクスの概要・潮流・有用性を理解し、自社の取り組みに活用していただく(または委託の判断軸を持つ)ための会員向けベーシック講座です。2021年度のピープルアナリティクスラボは「実践」をテーマに、実践事例や最先端の調査の共有等を行います。2021年9月度は7月度に引き続き、「PAの実践Ⅲ:基本から最前線まで」をテーマとして開催しました。

オンラインで出席いただいた参加者に向けて、PAや人事データ活用を推進する人事として株式会社パーソルホールディングス 人事本部 人事企画部長の山崎 涼子さん、当該領域のコンサルタントとしてデロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアマネジャー 酒井 雄平さん、ピープルアナリティクスの潮流とトピックや弊協会の取り組みについて協会副代表の山田隆史から紹介し、3名でのパネルディスカッションを行いました。

パーソルグループの人事データ活用
株式会社パーソルホールディングス 人事本部 人事企画部長 山崎 涼子 氏

 

 

■データドリブンHR
・データ活用タレントの育成、ガイドラインの整備、ガバナンス体制の強化といった体制構築をもとに、データの効率的な収集、データの一元管理、データを活用した情報提供を通して行い、人事が「息を吸うように」データを活用することがデータドリブンHRであると考えている

■取り組み事例①:人材の可視化
・社内にどんなタイプの人材がいるか不明だったため、適性検査・アセスメント情報を用いて、ソフトクラスタリングモデルによる人材タイプ分析を行った
・結果は人材ポートフォリオ設計やタレントへの育成投資の企画に活用した

■取り組み事例②:人事ダッシュボード開発
・属性の構成比をタイムリーに把握できていなかったため、属性情報や人事KPIなどを用いて、BIツールでダッシュボードを構築した
・結果は企画や会議におけるダッシュボードの提示を通じて活用した

■取り組み事例③:レコメンドモデル研究
・社内公募制度のマッチング成立度が低く、改善が必要だったため、ポジション業務内容情報などを用いて、レコメンドモデルを構築した
・ポータルサイトにレコメンド結果を掲載することで判断材料として活用すべく、システム上・法律上の要件の検討を進めている

■取り組み事例④:チャットボットの開発
・人事間・社員からの問い合わせ対応の工数が肥大化していたため、チャットボットツール上のログ情報を用いて、使用頻度や磁気的な傾向の可視化を行った
・結果は回答精度の改善や利便性の向上に活用した

■取り組み事例⑤:人事データ活用タレントトレーニングパッケージ
・各社人事データ社員のリテラシー向上や高度分析タレントの育成のため、研修を整備した
・研修内容は「データの正しい扱い方」「ベーシックレベルのデータ分析」「アドバンスドレベルのデータ分析」「データの管理・収集方法」で構成している

 

人事データ活用の動向とDX推進を促す人材マネジメント
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアマネジャー 酒井 雄平 氏

 

■After COVIDにおいて人事データ活用に求められる価値発揮
・調査によれば、グローバル企業が「生き残り」から「成長」にシフトするために着目し始めているテーマとして、人事データ活用の余地が大きいものはリスキルとウェルビーイングである
・リスキルの事例として、ソリューション営業への変革事例がある。リスキルを効率的に進めるには、生産性の分析に必要なKGI/KPIを整理し、事業・人事の多様なデータを分析して施策立案・効果測定を継続できるようにすることが重要である
・ウェルビーイングを構成する要素は多岐にわたるため、サーベイデータなどを駆使して従業員が現状に抱いている満足・不満要素を定点観測しつつ、向上施策を講じることが重要である。ウェルビーイングの構成要素例としては、からだ(健康・フィジカル)、こころ(メンタル)、おかね(給与・ファイナンス教育)、意義・目的(キャリア支援、メンタリング)といったものが挙げられる
・注目度の高いリスキルとウェルビーイングにおいても、目的変数と説明変数を定め、変化を測定し、施策の効果を分析するというデータ活用のアプローチは変わらない

■人事データ活用をPoCで終わらせず、組織的な取り組みに昇華させるためのポイント
・PoC段階で人事データ活用が停滞してしまう企業は少なくない
・その打破には、段階的な成功体験のデザインとアナリティクス機能の設計が必要
・推進初期から原因分析・予測による課題解決を期待するのではなく、まずは課題解決に向けた情報の可視化から進めていくことが現実的
・データ収集の青写真として、従業員の活動を通じてデータが自然に収集され、分析のために副薄のシステムに存在するデータが一元化される状況を描くことが重要である
・人事データ活用における「守り」として早い段階でプライバシーポリシー等の見直しを行っておくことが重要
・まず可視化によるデータの果実を十分に引き出し、機運を高めたうえでより高度な分析を行うための体制・データ基盤の整備に進むことが重要である

■DX推進における人材面での課題と対応事例
・DXが進まない人材面の理由としては、「デジタル化に対する認識の欠如」「実行のための人員数・ケイパビリティの不足」「デジタル教育の成果が不十分」「採用が困難」「デジタル人材を確保するも離職」といったものが挙げられる
・新しいビジネスを推進していくためには、営業のスタイルを先んじて変えていく必要がある。従来のモノ売りからコト売りへ転換し、コンサルティング営業やビジネスプランナーを確保・育成していく必要がある
・人材の質・量の両面におけるあるべき姿のデザインとギャップの特定、ギャップを埋めるための人材マネジメント施策への落とし込みが重要となる。これは事業部だけでは難しく、人事の価値発揮領域である
・必要な人材の要件を特定し、ギャップを埋めるための行動変容のプロセスをデザインすることがDX推進における人事の価値の出しどころである

 

ピープルアナリティクスの潮流とトピックや弊協会の取り組み
一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 副代表 山田隆史

 

 

開催概要
日時:2021年9月16日(木)16:00〜17:30
会場:オンライン (Zoom)
参加者:60名 ※法人正会員のみ

■登壇者プロフィール
山崎 涼子 | 株式会社パーソルホールディングス 人事本部 人事企画部長 新卒で旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社し、M&Aを機にパーソルホールディングスのグループ人事本部へ。一貫して人事領域に従事し、人事情報室長、タレントマネジメント室長を経験し、現在は人事企画部長。

酒井 雄平 | デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアマネジャー
複数のコンサルティング会社などを経て現職。人事戦略・トータルリワード方針立案や制度設計、部門改革などに従事。最近は、事業・人事データの活用高度化に注力し、リスク分析・生産性向上支援などに実績。

山田 隆史 | スターツリ―株式会社代表取締役
スターツリー株式会社を創業。企業に対して、HRテクノロジー・ピープルアナリティクスの活用支援・コンサルティング業務を行う。2018年 株式会社Bloomを共同創業し、採用領域のサービスを展開。CAO(Chief Analytics Officer)一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 副代表理事。早稲田大学 現代政治経済研究所 研究員(大湾秀雄 研究室)

 

主催・問合せ先
一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 事務局
e-Mail:info@peopleanalytics.or.jp

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