【開催レポート】5/21(木) 2020年5月度ピープルアナリティクスラボ

【開催レポート】5/21(木) 2020年5月度ピープルアナリティクスラボ

ポストコロナ時代のデジタルワークスタイル

ピープルアナリティクスラボとは、ピープルアナリティクスの概要・潮流・有用性を理解し、自社の取り組みに活用していただく(または委託の判断軸を持つ)ための会員向けベーシック講座です。2020年度のピープルアナリティクスラボは「より科学的・高品質なPA」を目指したテーマで活動していきます。2020年度初回となる2020年5月度は特に昨今の情勢を受けて、「ポストコロナ時代のデジタルワークスタイル」をテーマとして開催しました。

オンラインで出席いただいた会員の皆様に向けて、協会理事の大湾先生から「ポストコロナ時代のピープルアナリティクス:働き方と健康の向上に向けて」、日建設計の中村さん「After COVID-19:ワークスタイルをデザインする時代」と題して、ワークスタイル・働き方におけるデジタルイノベーションについてお話しいただきました。

 

 

ポストコロナ時代のピープルアナリティクス:働き方と健康の向上に向けて
早稲田大学 政治経済学術院教授 大湾 秀雄 氏

大湾先生からは、Beforeコロナを振り返って、ピープルアナリティクスは人材不足などによってGartner Hype Cycle における幻滅期に差し掛かってきていたとの認識が示され、それを踏まえてWithコロナ時代にどのようなピープルアナリティクスが必要とされていくのかについて講演いただきました。

■Withコロナ時代のチャレンジ
・現在は強制的な在宅勤務が仕事環境の悪化や社内外のコミュニケーションの悪化に繋がり、身体的・精神的不調を引き起こしている
・在宅勤務を実施できていない企業もあり、取り組みの遅れは業務システムやタスク管理の仕組みの未整備や上司のITリテラシーの欠如に起因する

■今必要なピープルアナリティクスとは
・在宅勤務の課題および利点を定量的に分析する必要がある。在宅勤務で生産性やストレスに関係する要因を特定し対策すること、在宅勤務の利点を享受しやすいのはどのような社員かを特定しメリットを最大化することが有効
・現状は、在宅勤務制度の制度設計に必要な情報の整理する良い機会である。在宅勤務が有効な職種の特定や必要なシステム・体制の洗い出しを行いたい
・在宅勤務は管理職の再教育の必要性を検証する機会ともなる。特にITリテラシーやコミュニケーションスキルについて、部下の生産性や満足度との関係を明らかにすべき

■ピープルアナリティクスのメトリック(測定基準)
・ピープルアナリティクスが上手くいかない最大の原因は、メトリックがないことである。何を測定しどのようなアクションに繋げるのかを明確にすることが重要である
・組織が改善したかどうかを測定するためには、従業員アンケートによるデータ収集以外にも、業務の電子化・オンライン化の進展によって収集が容易になる業務データが活用できる
・収集した業務データは、今後、汎用機械学習の急速な発展によって、多くの客観的指標を生み出す可能性がある

■今後必要となる長期的な取組み
・働き方改革は、在宅勤務の要請によって業務の標準化・自動化、印鑑の電子化、リモートワーク規定整備、評価制度改革など多角的に進んでいくものと想定される
・人的資本投資のリターンは今後上昇すると考えられる。管理職にはコミュニケーション/コーディネーションスキルスキル、中高年層にはITスキル、若年層には専門的知識が、より一層重要なものとして取得の必要性が高まる
・健康経営について、人材不足と安全配慮義務の徹底により重要性が増す。健康投資はKPIが明確であるため、取り組みやすいと考えられる

■ピープルアナリティクスと労使間・社員間の信頼関係
・ピープルアナリティクスは、労使間・社員間の信頼関係に基づく必要がある。社員のためにデータが使われなければ、社員から正しいデータは出てこない
・経営陣がデータを理解し、分析結果を共有するなどのコミュニケーションを行うことが必要である。また正しい理解とコミュニケーションのためには、少数のデータ分析者に依存しないことが大切
・経済効率と個人情報保護のトレードオフには常に注意すべきである。社内データ活用ガイドラインの設定と定期的な見直しを行うことが重要

 

 

 

After COVID-19:ワークスタイルをデザインする時代
株式会社日建設計 デジタル推進グループ 中村 公洋 氏

中村さんからは、ワークプレイスにおけるBEFORE COVID-19の状況の振り返りを踏まえ、現状の理解とWITH COVID-19、AFTER COVID-19に向けた、これからのワークプレイスのテーマについて講演いただきました。

■BEFORE COVID-19
・スマートビルディングの実現に向け日建設計とソフトバンクの業務提携が行われ、業界全体としてRe-Techの取り組みが進んでいた
・多様な働き方を尊重し、「コスト抑制」から「ワーカーを大切にする」に潮流が変化し、労働環境やデザインの重要性が増してきていた
・ESG投資の流れもあり、「WELL」「健康」といったニーズが強くなってきていた
・オフィスの評価軸が知的生産性となり、生産性の低い日本の課題として認識されていた
・協会ワーキンググループ(ワークプレイスイノベーション研究会)での取り組みの紹介

■NOW→WITH COVID-19→AFTER COVID-19
・現在は半強制的にテクノロジーの活用が推進される状況だと理解している
・WITH COVID-19、そしてAFTER COVID-19に向けて、スマートビルディング・スマートシティは再定義されつつ進んでいく

■WITH COVID-19
・複数人が共有席を予約制で使う働き方である「ホテリング」は、WITH COVID-19における有効な手段だと考えている
・ファシリティマネージメントの側面では、物理的な距離および密度の管理が必要とされるなどの変化が表れている
・フルリモートのメリットとして移動時間ゼロ、インプットの効率化、快適さなどがあるが、デメリットとしてコミュニケーション量の格差や教育の問題、自律の難しさなどが挙げられ、いずれにも目を配るべきである

■AFTER COVID-19
・安心安全と高効率の両立がこれからのワークプレイスのテーマになると考えている。安心安全はファシリティマネージメント、高効率はテクノロジーの領域である。前者には感染者の検知、健康状態の管理、接触の把握などが含まれる。後者には効率的なコミュニケーションやタスク管理、意思決定の促進などが含まれる
・これからのワークプレイスのエコシステムとして、HR-Tech、ピープルアナリティクス、セキュリティ監視、設備制御、設備監視、保全、エネルギーマネジメントの領域が相互に関連し、顧客に課題解決および価値提供を行っていく形を想定している
・今後は、個人が複数のオフィスを活用し、多様な空間・場所で働くようになると想定される。そのときオフィスはハードウェアからソフトウェア的なものとなり、対応する人事総務の業務もマニュアル的なものから応変的なものになっていくと考えられる
・新たなビジネスモデルとしてのWorkplace as a Service(WaaS)、新たなプレイヤーとしてのデータ活用領域(IoT領域)の企業がある
・データのプラットフォームを踏まえたデータの収集、可視化、分析がさらに重要となってくる

お二方の講演にはチャットを通じて会員の皆様からの質問も活発になされ、オンラインでの双方向的なイベントとなりました。
また、今回のピープルアナリティクスラボでは、この度2020年5月28日に発売となる書籍「ピープルアナリティクスの教科書」(一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会著・北崎 茂 編著)も紹介されました。

開催概要
日時:2020年5月21日(木)15:00〜16:30
会場:オンライン (Zoom)

講師:早稲田大学 政治経済学術院教授 大湾 秀雄 氏(協会理事)
演題:「ポストコロナ時代のピープルアナリティクス:働き方と健康の向上に向けて」

講師:株式会社日建設計 デジタル推進グループ 中村 公洋 氏(協会上席研究員)
演題:「After COVID-19:ワークスタイルをデザインする時代」

進行:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 組織人事ビジネスユニットヒューマンキャピタル部 マネージャー 古川 琢郎 氏(協会上席研究員)、スターツリー株式会社 代表取締役 山田 隆史 氏(協会副代表理事)