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2021.05.07

【開催レポート】4/22 (木) ピープルアナリティクスラボ特別編

コロナ禍を経てワークスタイルと意識はどう変わったか

ピープルアナリティクスラボとは、ピープルアナリティクスの概要・潮流・有用性を理解し、自社の取り組みに活用していただく(または委託の判断軸を持つ)ための会員向けベーシック講座です。今回は特別編として、「コロナ禍を経てワークスタイルと意識はどう変わったか」をテーマに、カオナビHRテクノロジー総研が行った「リモートワーク実態調査」およびMURCが実施した「コロナ禍を踏まえたフリーランス意識調査」の両調査結果の紹介を通じて、今後の企業課題や取り組みの方向性について議論しました。

 

実態調査から見えるリモートワーク実施の現状とリモートワーカーの声
株式会社カオナビ カオナビHRテクノロジー総研 齊藤 直子 氏

■調査の概要
・カオナビHRテクノロジー総研(https://ri.kaonavi.jp/)内のリモートワーク関連記事を協会セミナー用に報告

■日本におけるリモートワーク実施の実態
・2021年1月のリモートワーク実施率は、24.6%であった。うち7.6%が毎日リモートワークで業務を行っている。
・リモートワークは局所的な現象となっており、都市部 / 大企業 / ホワイトカラー / IT・インターネット関連業種に集中している。

■リモートワーカーが感じるメリットとデメリット
・メリットとしては、通勤がなくなったことによる時間のゆとりの増加や疲労の減少、会議等の無駄なコミュニケーションの減少が挙げられている。
・特に「子供がいるリモートワーカー」において、家族・友人などと過ごす時間や家事・育児の時間が顕著に増加している
・総じていえば、リモートワークは「働きやすい」と感じられている。
・デメリットとしては、個人の生産性やチームの成果に対して不安を感じやすいことが挙げられている。
・「生産性実感」は、18.3%が上がった、43.7%が特に変わらない、38.0%が下がったと回答している。

■感じ方に差がある? 〜上司と部下のギャップから〜
・部下なし(部下)よりも部下あり(上司)のほうが、リモートワークを働きづらい / 生産性実感が下がったと回答する割合が多い。
・「他の社員の業務で問題が起きたときに気づけない」など、上司のほうがより不安を大きく感じる項目がある。

■リモートワーク導入すべきか?
・Twitter、Facebook、Salesforce、ヤフー、トヨタ、リコーなどでは、一部の社員のリモートワークの恒久化を宣言している。
・一方で伊藤忠商事やマイクロソフトは、「出社の価値」に言及している。
・災害対策として制度自体は必要であり、その有無よりも、平時の比率が検討対象となるべきである。

■積極的に取り組むべきか?
・リモートワーカーの回答では、リモートワークを継続したいという割合が51.7%となっている。
・男女別では、女性のほうがリモートワークの継続を希望する割合が高い。
・取り組む組織の視点で考えられるメリットとしては、災害等の危機に対してのレジリエンス向上 / 採用競争力の維持・向上 / 従業員満足度やエンゲージメント向上 / ダイバーシティ推進 / 離職防止などがある。

■取り組む上での障壁は?
・リモートワーカーの不満には、ちょっとした雑談や相談がしづらいこと、仕事とプライベートの境界が曖昧になることなどがある。
・リモートワーカーの希望する改善策としては、特になしという回答が最も多いが、制度の見直しやワークフローの構築・可視化などが挙げられる。
・リモートワーク充実のステップとして、①最低限の準備:リモートワーク制度・運用ルール・IT設備の整備、②顕在化する課題への対応:ITツールの拡張・ITツールを利用したソフト施策の展開、③その組織らしいワークスタイルの模索といった3ステップが考えられる。
・カオナビでは、「働く場所が選択できる制度」「スーパーフレックス制度」「スイッチワーク制度」を導入し、個人が自分のパフォーマンスを発揮できる条件を「選択」して働けるような取り組みを行っている。

コロナ禍を踏まえたフリーランス実態調査
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 コンサルティング事業本部 組織人事ビジネスユニット HR第3部 シニアマネージャー 古川 琢郎 氏

■調査の背景・概要
・下記レポートを協会セミナー用に報告
https://www.murc.jp/report/rc/report/consulting_report/cr_210408/?fbclid=IwAR1JuGcRGIg4jOcUirmzHIVa5qsCMk_htaTPNVyD_D82Yz-qnNuM9y0amzo

・調査背景の1つ目は業界構造と労働環境の変化である。テクノロジーやDXにより、主流のビジネスモデルは製品売り切り型(アップグレード型)からアップデート型へ変化している。また、企業はプラットフォーマーや複数の機能・ソリューションを統合する“大きな企業”と、単一機能ではあるがテクノロジーやビジネスモデルのレバレッジによってパワーを持つ“小さな企業”に大別できる。
・調査背景の2つ目は企業におけるフリーランス活用の増加である。すでにフリーランス活用、ないし活用検討している企業は過半数に至っている。特にIT・情報システム領域においてフリーランスは欠かせない人材となっており、フリーランスは単なる業務委託先としての位置づけを超え、従業員同様、どのようにマネジメントし自社・自組織へのコミットを引き出すかが今後の企業課題となっている。
・調査概要としては、ITを活用するフリーランスにフォーカスし、企業・組織に求めることやスキル習得方法、またそれらへの新型コロナの影響有無を調査した。集計は先端IT業務従事者(先端)と非先端IT業務従事者(非先端)に分けて実施した。

■調査結果
・「企業・組織に求めること」として、「非先端」が働き方の柔軟性や専門性や強みの活用を重視するのに対し、「先端」は企業の成長性、意思決定スピード、最先端の仕事を重視している。「先端」は、必ずしも自身の専門性や強みをダイレクトに活用できずとも、最先端の技術を活用したチャレンジができるかどうかや、そのチャレンジに対する企業の意思決定スピードを求めていると言える。
・「現在のスキル習得に有益だった方法」としては、書籍やweb検索が圧倒的に多いが、国内外のオンラインコンテンツやコミュニティ・学会等への参加については、「先端」と「非先端」において大きな差があり、「先端」で挙げられる割合が高かった。
・コロナ禍の影響による「企業・組織へ求めること」の変化としては、「先端」はより働き方の柔軟性や契約の安定の認識が高まった。コロナ禍によるDXを通じ、「先端」の引き合いが増え、より一層働き方の柔軟性を求めるようになったと言える。一方、先端技術を活用した新規事業投資等は凍結されたケースも多く、契約の安定への認識も高まったと考えられる。
・コロナ禍の影響による「仕事の量や質、新しいスキル習得への意識」の変化としては、「先端」のほうが、仕事量のみならず、要求される仕事の質も高まっており、結果として更なる新しいスキル習得の必要性の認識が高まっている。

■調査結果を踏まえた企業の課題
・これからの新規事業創出には、内製する機能・スキルの整理・更新が重要と考えられる。これまでの「切り出した業務をフリーランスに頼む」形ではなく、積極的に新しい知見やアイデアを取り入れるためにフリーランス等とオープンイノベーションを起こす形に変化する必要があるだろう。
・内外の職務の定義を明確化することで、フリーランスに期待する役割を明確化していく必要がある。内製する機能・スキルを明確化することで、内部で保有せず、フリーランスに委託する機能・スキル・専門性も言語化することができる。
・フリーランスと組織カルチャーやメンバーとのマッチングも重要である。「一緒に仕事をしたいと思う従業員や仲間がいること」が、「先端」では3番目、「非先端」では4番目に求められる条件である。

開催概要
日時:2021年4月22日(木)15:00〜16:30
会場:オンライン (Zoom)
参加者:40名 ※法人正会員のみ

講師:株式会社カオナビ カオナビHRテクノロジー総研 齊藤 直子 氏
演題:「実態調査から見えるリモートワーク実施の現状とリモートワーカーの声」

講師:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 コンサルティング事業本部 組織人事ビジネスユニット HR第3部 シニアマネージャー 古川 琢郎 氏(協会上席研究員)
演題:「コロナ禍を踏まえたフリーランス実態調査」

主催・問合せ先
一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 事務局
e-Mail:info@peopleanalytics.or.jp

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