【開催レポート】11/18(木)ピープルアナリティクスラボ#4「PAの実践Ⅳ:基本から最前線まで」
PAの実践Ⅳ:基本から最前線まで
ピープルアナリティクスラボとは、ピープルアナリティクスの概要・潮流・有用性を理解し、自社の取り組みに活用していただく(または委託の判断軸を持つ)ための会員向けベーシック講座です。2021年度のピープルアナリティクスラボは「実践」をテーマに、実践事例や最先端の調査の共有等を行います。2021年11月度は9月度に引き続き、「PAの実践Ⅳ:基本から最前線まで」をテーマとして開催しました。
オンラインで出席いただいた会員の皆様に向けて、PAや人事データ活用を推進する人事としてパナソニック株式会社 本社人事部門 エンプロイーサクセスセンター HRWorkTech課の萩原 章義さん、当該領域のコンサルタントとして株式会社日本総合研究所 未来社会価値研究所 兼 リサーチ・コンサルティング部門 ストラテジー&組織・人材開発グループ シニアマネジャーの宮下 太陽さんからご講演いただきました。
萩原さんからは「PanasonicにおけるPeople Analyticsへの挑戦」と題してパナソニックにおけるピープルアナリティクスに関するこれまでの取り組みから今回組織立上げに至る経緯・今後の展望をお話しいただきました。
また宮下さんからは「ピープルアナリティクスの最新潮流 個に迫る人材マネジメント」と題して、さらに加速していく日本企業のピープルアナリティクス活用の動向と事例についてご講演いただきました。
PanasonicにおけるPeople Analyticsへの挑戦
パナソニック株式会社 本社人事部門 エンプロイーサクセスセンター HRWorkTech課 萩原 章義 氏
■これまでの取り組み
・SPI結果の分析、オフィスログの分析、従業員サーベイ×性格診断、AIチャットボット、テキストマイニング、顔画像ビッグデータによる人材分析等の取り組みを各部署においてトライアルしてきた
・人事としてはこれまでオペレーション業務を中心にデジタル化・効率化を進めてきており、今後は人事戦略・タレントマネジメント領域についてもデータ・AI活用を進めていく方針
■課題認識と目指す姿
・既存事業領域のオペレーション力強化と新規事業領域の立ち上げ・スケール化に取り組む中で、事業責任者がアドレスする課題は大きく、人事の事業・従業員への貢献のあり方を変えていく必要がある
・特に人的リソースのシフトと各個人の多様性に寄り添ったエンプロイーエクスペリエンスの向上が重要な課題と認識している
・労務構成の変化・COVID-19の影響により、従来のように勘・経験に頼った価値提供が難しくなっている
・今後はIT・データを駆使して適時・適所・適材・適量な人材配置を行い、組織パフォーマンスとエンプロイーエクスペリエンスの最大化を目指す
■現状と取り組みSTEP
・現状では人材ニーズに基づいた定義が曖昧なことにより情報が使いやすい形で見える化されておらず、データ視点ではインフラも乱立しているため、情報の定義・見える化とインフラの整備が必要
・まず配置・任免の領域から着手してポストと人材情報を整備し、活躍人材要件を抽出して他の領域に展開していく
・経験・能力要件の可視化による絞り込みに加え、人物資質要件のマッチング診断結果を活用していく
・職種情報を詳細に定義することで経験情報を把握するとともに、アセスメントを実施していく
■配置任免×People Analytics
・配置・任免のスクリーニングおよびキャリア検討のシーンにてデータ分析を活用することで、配置・任免業務の質の向上と業務効率化が可能と仮説設定
・会社ニーズに基づく異動と個人のキャリア開発のための異動があることを踏まえ、活躍度予測モデルと類似度診断モデルを構築した
・活躍度予測モデルではモデル人材のデータをもとに、異動先で活躍する確度をスコア化している
・類似度診断モデルではポテンシャルに重点をおき、モデル人材にどれだけ似ているかを可視化している
■今後の展望
・2021年から2025年にかけて、データドリブン人材マネジメント実現に向けたコア要素の構築、ジョブ型マネジメントも視野にいれた活用範囲拡大+より先進的な領域での先行研究、人材流動化加速に対応した戦略的WFPの展開と3つのステップで進めていく予定である
ピープルアナリティクスの最新潮流 個に迫る人材マネジメント
株式会社日本総合研究所 未来社会価値研究所 兼 リサーチ・コンサルティング部門 ストラテジー&組織・人材開発グループ シニアマネジャー 宮下 太陽 氏
■個に迫る人材マネジメントの重要性
・資本主義の構造変化の中で、資本主義の価値の担い手が「物質的なもの(有形資産)」から「非物質的なもの(無形資産)」に移行している。それに伴って、最も重要な投資は工場建設などの物的投資から「人的資本」投資へと移行している
・近年、企業の経営層に「人的資本の情報開示や人材戦略の議論を求める動き」が強まってきている
・政府は「科学技術イノベーション基本法」にもとづき第6期科学技術・イノベーション基本計画を閣議決定し、2030を見据えた2025年までの中長期的な政策の方向性を示している
・基本計画の「一人ひとりの多様な幸せ(well-being)と課題への挑戦を実現する教育・人材育成」の中で「リカレント教育」について言及されている
■私が面白いと思う(先進)事例
・データと経験の掛け算が現象のよりよい理解とよりよい施策に繋がる
・人的資本経営を成立させるためには組織のマネジャーを育成・強化するとともにマネジャーに武器を渡す必要がある。その重要な武器となりうるのが評価制度をはじめとした人事の諸制度であり、人材情報の見える化である
・自分自身や環境に影響を及ぼす先見的・変革的な行動を自ら取れる人材であるプロアクティブ人材が増えるほど組織は強くなる。このプロアクティブ人材を育成する必要がある
・プロアクティブ人材を孤立させず、より広く組織内でアクセスできる環境を整えることが重要であり、リテンションにもつながる
■個に迫る人材マネジメントの方法論
・自社の離職者の傾向を把握する際、決定木分析を用いることがある
・決定木分析のある事例では、離職の決定要因をツリー上に特定し、離職に至る集団はどのような特徴を有する集団なのかを分析した
・決定要因だけではなく、そのプロセス着目した分析を行う際には、質的研究法の一つである複線経路等至性アプローチ(TEA)が有効である。
開催概要
日時:2021年11月18日(木)15:00〜16:30
会場:オンライン (Zoom)
参加者:55名 ※法人正会員のみ
講師:パナソニック株式会社 本社人事部門 エンプロイーサクセスセンター HRWorkTech課 萩原 章義 氏
演題:「PanasonicにおけるPeople Analyticsへの挑戦」
講師:株式会社日本総合研究所 未来社会価値研究所 兼 リサーチ・コンサルティング部門 ストラテジー&組織・人材開発グループ シニアマネジャー 宮下 太陽 氏
演題:「ピープルアナリティクスの最新潮流 個に迫る人材マネジメント」
主催・問合せ先
一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 事務局
e-Mail:info@peopleanalytics.or.jp